TRPGで遊べることは多岐にわたる。
剣と魔法のファンタジー世界で大冒険をしたり、現代を舞台に世界の裏側を覗き見たり。
皆と協力して困難を乗り越えることもできるし、胸中を探りあってPvPに興じることもできる。
そんな多くのシステムで、何を遊べばいいか悩むのもTRPGの楽しみである。
一番大事なことは、自分たちの遊びたいシステムであることだ。だが初心者だけでTRPGを遊ぶ場合、システムの難易度についても充分考慮した方が良い。
TRPGで最も有名なところに「クトゥルフの呼び声(CoC)」があるが、あれは正直に言って、かなり難易度の高いシステムだ。
このシステムがあれだけ普及しているのは、難易度が高いシステムである以上に「経験者が初心者を導きやすいシステム」であるからだと思っている。なので、初心者だけでセッションをする際にはあまりお勧めしない。
ではどのようなシステムが初心者に優しいか、それを解説していこう。
判定やルールがシンプル
これはかなり重要な要素だ。ルールが簡単であればGMの負担がかなり楽になる。
判定がシンプルというのは、つまり使うダイスの種類が少ないということだ。ダイスの種類が多かったり、ルールが複雑だと1回の行動だけでこんな風になる。
複雑なシステムの場合
その回避に1d100、攻撃が命中したら2d6+ダメージボーナス1d4-相手の装甲点……
武道の心得があるキャラクター1人が1発、蹴りを入れるだけでこのダイスの量である。因みにCoCの話だ。
筆者が初心者にお勧めしない理由の一端が見えるだろうか。
※念のため言っておくとCoCが嫌いなわけではない。ルールが面倒であるというだけだ。
シンプルなシステムの場合
命中箇所は成功した時の出目で決まり、命中箇所のパーツを1つ損傷。
特殊効果があれば損傷するパーツの数が変わる。
御覧の通り、1d10で全部決まる。
このように、ルールがシンプルだとすごく楽だ。1つの判定にモタモタしていると雰囲気がグダってしまうので、できるGM(のフリ)をするのに、シンプルなシステムは重要だ。
因みにこれは「永い後日談のネクロニカ」というシステム。個人的に最推し。
世界観が一様、または狭い(シナリオにもよる)
これはそこまで必須という要素ではないが、自分の遊びたいシステム又はシナリオがこれに合致しているとありがたい部分だ。
TRPGは想像力の遊びだ。その中で「風景・背景」というのは少々厄介な部分だ。シナリオの本筋にそこまで関わるものではないものの、しっかりとイメージできないとキャラクターたちが白背景で動き回ることになって楽しくない。
変化に富む背景を不慣れな言葉で逐一説明するよりも、全編通して統一された、簡単な言葉でスパッと説明できれば、相対的に「想像力を掻き立てられる風景描写」にできる。
これ以上上手く要約できないので、具体的に話をしたい。
風景が一様ではない場合
例えば街Aから街Bに移動するとして、「風景が一様ではない」場合、街A→道中→街Bで計3回の風景描写が必要になる。さらに言ってしまえば、街Aが自然豊かな山の上にあり、街Bが荒廃した海岸にあれば、道中も「A寄りの地域」と「B寄りの地域」で風景が変わるだろう。
こういったところで手間、情報量が増えてしまうと、考えること・話すことが増えてしまうので少し困る。
システムというかシナリオに依存する部分でもあるので一概に言えないが、複数の風景や価値観が登場するものは、初めてセッションをするにはお勧めしない。
風景が一様である場合
先ほどの「永い後日談のネクロニカ」は基本的にどこへ行っても荒野と廃墟ばかりだし、「パラノイア」も、色による地区分けがあるが、基本どこに行っても無機質な風景だ。
「キルデスビジネス」は一度決めてしまえば奇天烈だが、同じ風景が続く。その上でダイスでシーンが強制的に決まるので、簡単にわけの分からない状況を作り出せる。
こういったシステムレベルで風景が一貫しているものは、GMをやる上で結構お得だったりする。
まとめ
ここまでGM視点で考える初心者がTRPGで遊ぶシステムの選び方について、色々と書いてきたがいかがだっただろうか。ポイントをまとめると以下2つになる。
・システムがシンプルなもの
・複数の風景や価値観が登場しないもの。
冒頭でも書いたがやはり一番大事なことは、自分たちの遊びたいシステムであること。この記事が読んだ方にとってTRPGを選ぶ際に参考になれば幸いだ。
こちらの関連記事に、システムの選び方に限らず、初心者がTRPGをする事(特に初めてGMをする事)について書かせてもらっている。
あなたがもしTRPGを初めて遊ぶ、あるいは遊び始めたばかりであれば、是非読んでほしい。